追悼:森永卓郎氏を偲んで
2025年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が逝去されました。長年にわたり、経済問題を鋭く分析しながらも、庶民の視点を忘れない温かな提言を続けてこられた森永氏。私は、日航123便や財務省のことなどタブーを恐れずに発信し続けていた森永氏に感銘を受けてきました。
本書「身辺整理 死ぬまでにやること」を今読み返すと、自身の経験に基づく誠実な助言の数々に、改めて深い感銘を受けます。本レビューを、森永氏への追悼の意を込めて記させていただきます。
はじめに:なぜこの本を読んだのか
「人生100年時代」と言われる今、誰もが考えなければならないのが「身辺整理」です。経済アナリストとして知られる森永卓郎氏による本書は、残された家族が困らないための具体的なノウハウを、著者自身の経験を交えながら解説しています。
本書の要点:身辺整理で必ずやるべき3つのこと
1. エンディングノートの作成と更新
本書では、エンディングノートの書き方について、単なる遺言だけでなく、以下の要素を含めることを推奨しています:
- 基本的な個人情報
- 財産目録(預貯金、不動産、保険など)
- 各種パスワードリスト
- 介護・延命に関する希望
- 葬儀・お墓に関する希望
2. デジタル遺品の整理
現代特有の課題として、デジタル遺品の整理について詳しく解説されています:
- スマートフォンのロック解除方法
- SNSアカウントの対応方法
- クラウドストレージのデータ整理
- 暗号資産の引継ぎ方法
3. 生前整理と断捨離
著者は「生前整理」を特に重視しており、以下のポイントを挙げています:
- 必要書類の整理と保管方法
- 思い出の品の整理基準
- 相続トラブルを防ぐための対策
- 家族との話し合いの進め方
印象に残った具体的なアドバイス
財産管理のデジタル化について
著者は、従来の紙ベースの管理から、デジタル管理への移行を推奨しています。ただし、セキュリティには十分な注意が必要で、具体的な対策も示されています。
「今できること」リストの作成
先送りにしがちな身辺整理を、優先順位をつけて少しずつ進めていく方法が示されています。特に印象的だったのは、以下の3段階アプローチです:
- 緊急度の高い整理(1ヶ月以内)
- 重要だが緊急ではない整理(半年以内)
- できれば行う整理(1年以内)
この本がおすすめな読者
- 50代以上で身辺整理を考え始めている方
- 親の介護や財産管理に関わっている方
- デジタル遺品の管理に不安がある方
- 相続対策を考えている方
- シンプルな暮らしを目指している方
本書の特徴的な点
森永氏ならではの経済アナリストとしての視点が随所に見られ、特に以下の点が秀逸です:
- 具体的な数字やデータに基づいた解説
- 法改正や制度変更への対応方法
- 専門家への相談時期と選び方
- コストパフォーマンスを考慮したアドバイス
まとめ:実践的で具体的な身辺整理ガイド
本書は、身辺整理という重いテーマを、実践的かつ具体的に解説した良書です。特に、デジタル時代における新しい課題にも詳しく触れている点が、現代的で参考になります。
著者の森永氏自身の経験に基づいた記述も多く、単なるハウツー本ではない、説得力のある内容となっています。
実践するためのステップ
- まずはエンディングノートを作成する
- デジタル資産の棚卸しを行う
- 家族と今後について話し合う
- 専門家に相談すべき事項をリストアップする
- 定期的な見直しと更新を行う
本書を読んで終わりにせず、実際に行動に移すことで、残された家族の負担を確実に減らすことができるでしょう。
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